「献血すると身体にいいんだって」
以前こんなことを仕事の同僚から聞いたことがあります。
「血を抜くだけで健康になれる!?しかも人の助けになれる!」
一石二鳥とはまさにのこと。今回は献血健康法と献血のメリット・デメリットについて調べてみることにしました。
献血は身体に良い!?献血健康法のウソ・ホント
献血健康法は身体から血を抜き、新しい血液を作り出すことで、デトックス効果が得られるというものです。これは「瀉血」と呼ばれる医療行為のことを指していると思われます。
これについて、日本赤十字社のHPに記載がありました。
Q.献血をたくさんすると血液がきれいになっていいと聞いたのですが?
A.医療行為である「瀉血」の効果という意味かと思いますが、瀉血は他の治療法と併用して効果を生む治療法であるので、献血で同様の効果があるかどうかはわかりません。そのような治療を必要としている状態の方から献血をいただくことはできかねます。なお、健康な方も頻回に採血をされることによって、一部の循環器疾患などの発生率が低くなるとの報告が時に出ますが、まだ確定はしていません。
このように献血による健康増進効果があるかどうかは、ハッキリ言って“不明”。
「献血でドロドロの血を抜いてサラサラの新しい血を造ることでアンチエイジングの効果がある」というネット記事を目にしましたが、血液は常に新しいものに入れ替わり続けています。
Q .血液は1日にどれくらい造(つく)られるの?
A. 1日に造られる量は、体重40Kgの人で25mL、80Kgの人では50mLとなります。
※血液の量は体重の約1/13です。また赤血球の寿命は120日で、毎日、血液全体の1/120が新しいものに入れ替わっています。 これから計算するとこのような数字になります。
厳密に言うと、血液の『成分』によって新しいものが作られる早さは違うようですが、血がサラサラになると言うのは、おそらく「血液が抜かれ、それを補うために、一時的に水分が多い”薄い血液”になってサラサラになっただけ」ではないでしょうか。
つまり、元からドロドロの血液の人は数日で元に戻るので、根本的な改善にはなっていないということです。
とは言え、ネットの声を調べてみると
・アトピーや乾燥肌が直った
・肩こりがよくなった
・むくみがとれた
・身体が軽くなった
という声があるのも事実です。もちろん「なにも変化なし」という声もあります。
これらから導き出した結論は
献血が身体に良いかは、特定の病気に対してを除き、科学的な根拠はなし!
しかし、人によっては効果があるという声もあるので、やってみて損はなし!
やったことがない人は、もしかするといい効果が得られるかもしれないので、試しにやってみるのもいいかもしれませんね。
献血したいけど、どうしたらいい?
献血にちょっと興味が出てきた人もいるでしょう。献血をするための条件や場所を見てみましょう。
献血はどこでできるの?
献血は全国各地に設置された献血ルーム(常設施設)または献血バスで行うことができます。
受付時間・受付できる献血の種類などの詳細は各施設のHP等で確認してください。
献血ができる人の条件は?
16〜69歳までの方で、以下の条件にはてはまらない健康な人が献血を行うことができます。
65歳以上の方の献血については、献血いただく方の健康を考慮し60~64歳の間に献血経験がある方に限ります。
・献血できる基準体重に達していない
・当日体調不良である
・過度の空腹・睡眠不足
・薬を飲んでいる(ビタミン剤およびごく一般的な胃腸薬などの類を除く)
・3日以内に出血を伴う歯科治療(歯石除去を含む)を受けた
・一定期間内に予防接種を受けた
・6ヶ月以内にピアスの穴をあけた
※口唇、口腔、鼻腔など粘膜を貫通してピアスを挿入している場合は、献血をご遠慮いただいています。
・6ヶ月以内にイレズミを入れた
・外傷がある
・動物または人に咬まれた
傷が治癒してから、動物に咬まれた人は3ヶ月、人に咬まれた人は6ヶ月、狂犬病ワクチンを接種した人は1年間ご遠慮いただいています
・特定の病気にかかったことがある
心情病・悪性腫瘍・けいれん性疾患・血液疾患・ぜんそく・脳卒中
・海外旅行者および海外で生活した人
帰国日から4週間以内。旅行した時期・地域によってご遠慮いただいています
・輸血歴、臓器移植歴のある人
・エイズ、肝炎などのウイルス保持者、またはそれと疑われる人
不特定の異性または新たな異性との性的接触があった。
男性どうしの性的接触があった。
麻薬・覚せい剤を使用した。
エイズ検査(HIV検査)の結果が陽性だった。
上記に該当する人と性的接触をもった。
・クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の方、またはそれと疑われる人
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)または類縁疾患と診断された。
血縁者にCJDまたは類縁疾患と診断された人がいる。
ヒト由来成長ホルモンの注射を受けた。
角膜移植を受けた。
硬膜移植を伴う脳神経外科手術を受けた。
・出産中・授乳中
各項目の詳細は赤十字の公式HPを参照してください
自分にあった献血方法を選ぶ!
献血は大きく分けて2種類の方法があり、それぞれ献血が行える人の基準が違っていたり、献血にかかる時間や次に献血できるまでの期間が違ったりします。
1人の患者さんに対して、少ない人数の献血でまかなったほうが、献血による副作用の発生が確率が低くなるため、400mlの全血献血や成分献血が望まれています。しかし、献血で体調を崩すこともあるので、自分に合った献血方法を選んでください。
全血献血…血液中の全ての成分を献血する方法。200ml献血と400ml献血がある。
所要時間は10〜15分
成分献血…成分採血装置を使用して血小板や血漿といった特定の成分だけを採血し、体内で回復に時間のかかる赤血球は再び体内に戻す方法。血小板成分献血と血漿成分献血がある。成分採血は身体への負担も軽く、多くの血漿や血小板を献血できるのが特長。
所要時間は採血量に応じて40分〜90分程度
献血方法別の採血基準
献血方法ごとに献血を行える人の基準が違っています。また、基準に到達していても、その日の体調や医師との問診次第で献血が行えない場合もあります。
献血の間隔
一度献血を行うと、次に献血を行うまで一定の期間が必要になります。
献血履歴はデーターベースで管理されており、献血するともらえる『献血カード』に次に献血を行える日が記載されています。
献血に必要な物は?
「いざ献血へ!」けど何か必要なものってあるの?
・健康な身体
・公的機関が発行した身分証明証
この2つがあれば他にはなにも必要ありません。身分証は絶対必要ではないみたいですが、あったほうが受付がスムーズになるので、保険証や免許証を持っていくのをおすすめします。
献血の流れ
1.献血受付
初めての人はここで「初めてです」と申告しましょう。きっと丁寧に説明してくれると思います。
申し込み容姿への記入と注意事項の説明などを受けます。
2.質問への回答
端末を使いながら、当日の体調や、献血ができる人の条件から外れていないかなど、簡単な質問への回答を行います。
3.問診
医師による問診と血圧測定を行います。
4.血液型事前判定とヘモグロビン濃度測定
採血を行い、血液型の確認と血液の濃度が献血できる基準に達しているか確認します。
献血できる条件に達していても、ここでの検査で血液が薄いと判断されると献血することができません。
5.採血
実際に献血を行います。ここで使う注射の針は、普通の採血で使われる物より少し太いようで、ちょっとチクッとします。
採血している腕を動かさなければ、スマホをいじったり、テレビを見ても大丈夫なので、長い時間の採血でもそこまで退屈にはならないでしょう。
6.休憩
献血後は、採血した分しっかり水分を取って休憩しましょう。10分以上の休憩が推奨されていますが、30分くらいは休憩したほうがよいでしょう。
7.献血カードを受取り、帰宅
十分に休憩を取ったら、次回献血可能日が記載された献血カードを受取り、帰宅しましょう。
献血のメリット
・なんか良いことした気分
日本では1日約3,000人が輸血を受けていると言われています。輸血に必要な血液を確保するには、一時期に偏ることなく、1日約13,000人の方が献血をする必要があるそうです。
だからたくさんの人に献血を行ってもらう必要があるのです。
ジュース飲んで、漫画読んで、お菓子食べて、ちょっと血を抜いただけで世の中のためになるのですから、こんな素晴らしいことはないですね。
・お菓子やジュースが飲み放題・漫画も読み放題
場所によるかもしれませんが、献血ルームでは基本的に飲み物が飲み放題。場所によってはお菓子が食べられたり、アイスが食べられたりします。
さらに漫画が読めたり、インターネットが出来たり、献血に来た人がリラックスできるような施設になっています。
・血液検査が無料でしてもらえる(希望者のみ)
病院で検査すると何千円かかるような血液検査を無料でしてもらうことができます。結果は献血から2週間から1ヶ月以内に郵送されてきます。
検査項目は以下の通り(希望者のみ)
・血液型
・生化学検査(7項目)
・血球係数検査(8項目)
・検査で異常を認めた場合に知らせる検査項目
B型肝炎検査、C型肝炎検査、梅毒検査、HTLV-1抗体検査
他の項目(エイズウイルスなど)は検査されていますが、異常があっても私たちに通知されることはありません。
献血のデメリット
献血に伴う副作用
・気分が悪くなる、吐き気、めまい、失神が1/100人
・失神に伴う転倒が1/12,500人
・針を刺すことによる皮下出血が1/500人
・神経損傷(痛み、しびれ、筋力低下など)が1/10,000人
これらの副作用が起こる可能性があります。決して高い割合ではありませんが、少なからずリスクはあるということです。
献血ではエイズ(HIV)の検査はできない
「献血時の血液検査でエイズかどうかわかる」という噂を聞き、エイズの検査目的で献血を行う人がいます。確かに献血後の検査で、その血がエイズに感染しているかどうか検査を行います。
しかし、検査結果は本人には通知されません。
また、エイズウイルスの感染初期には、最も鋭敏な検査方法を行ってもすり抜けてしまう期間が存在します。輸血を受ける人のためにも絶対にエイズの検査目的で献血を行うのはやめてください。
エイズ検査は、保健所などで無料匿名で行うことができるので、そちらを利用してください。
まとめ
今の技術では血液を人工的に作り出すことはできず、献血による安定した血液の供給が求められています。
100%絶対安全とは言えませんが、血液検査に行くつもりで献血に行ってみてはいかがでしょうか?
先日私も行ってみたのですが、思ったよりあっさり終わって「ジュース飲み放題で、アイスもお菓子も食べられて、世の中のためになることができるんだからめちゃくちゃいいな!」と思いました。
みんさんも是非一度献血に行ってみてください。
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