もう間もなく、ロードバイクファンが待ち望んだ年に1度のビックイベント【ツール・ド・フランス】が開催されます。
個人的な備忘録も兼ねて、ツール・ド・フランスを楽しむためのポイントをまとめていこうと思います。
ツール・ド・フランスとは?
まずはツール・ド・フランスとはなに?というところから話をしていきましょう。
ツール・ド・フランスは、毎年7月にフランス及びその周辺国を舞台にして行われる自転車プロロードレースのことです。
初開催は1903年。名称はフランス語で「フランス1周」を意味していて、その名の通り、全21ステージ、約3週間に渡って行われるレースの合計走行距離は3,000km以上。アルプスの険しい山岳も含まれる過酷なコースを舞台に、UCIワールドチームと主催者から選出されたUCIプロコンチネンタルチーム、合わせて全22チームがぶつかり合う世界最高峰のレースとなっています。
なぜツール・ド・フランスはここまで人気があるのか?
ツール・ド・フランスは全世界で30億人が観戦すると言われています。自転車好きにとって、ツール・ド・フランスは”世界最大の自転車レース”なのは共通の認識で間違いないでしょう。しかし、なぜツール・ド・フランスはここまで人気があるのでしょうか?
ツール・ド・フランスはなぜ人気?
1903年に初開催祭されたツール・ド・フランス。元々フランスの新聞社がライバル社をつぶすために企画されたものでした。「フランスを1周する自転車レース」という現実離れした企画は、瞬く間に国民の心を魅了しました。その後も人々の関心を引き続け、100年以上経った今も”世界最大の自転車レース”として、全世界で注目されているのです。
今ではジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャと共に3大ツール”グランツール”と呼ばれ、UCIワールドツアーの中でも最上級カテゴリーに位置するレースとなっています。
ツール・ド・フランスが世界的に注目されているのは、その歴史と主催者の飽きさせない努力があったからです。
UCIワールドツアー
UCIワールドツアーとは、2011年から開催されている、自転車競技・ロードレースのシリーズ戦のことです。
2017年は全37レースが開催され、各レースの順位によって獲得したポイントを競い合い、シーズン終了時に1番多くのポイントを獲得したチームと選手が表彰されます。
ワールドツアーに出場できるのは、国際自転車競技連合(UCI)の規定により、成績・運営・財政など多角的に認められた”プロチーム(UCIワールドチーム)”。これらのチームはワールドツアーに参加する義務と権利を持っています。
UCIワールドチームの下のカテゴリーには”UCIプロコンチネンタルチーム”があり【レースの開催国に本拠地がある】【有力選手が在籍している】などを元に、ワイルドカードや主催者の推薦によって、UCIプロツアーのレースに出場することができます。
3大ツール”グランツール”
UCIワールドツアーの中に”グランツール”と呼ばれる世界的に有名な3つの大きなレースが存在します。
ジロ・デ・イタリア(2017年総走行距離3,572.2km)
ブエルタ・ア・エスパーニャ(2017年総走行距離3,297.7km)
ツール・ド・フランス(2017年総走行距離3,540km)
この3つはUCIワールドツアーのレースの中でも開催期間や走行距離が非常に長く、獲得できるポイントも他のレースと比べて多く設定されていて、賞金や知名度も別格です。自転車に乗らない人でも、グランツールだけは興味があるという人も多く、歴史の長いツール・ド・フランスは、全世界で30億人が観戦すると言われています。
世界的にも知名度の高いグランツールで総合優勝を果たすことは、出場選手たちにとって憧れではありますが、好成績を残すためには【平地・山岳・タイムトライアル】と異なる種目の力が要求され、選手たちの総合力が試されます。
長期間かつ長距離、平地・山岳・タイムトライアルと全ての力が試されるステージ、完走することすら難しい過酷なレースだからこそ【最大・最高の自転車レース】”グランツール”と呼ばれているのです。
ちなみにグランツールの中でも、ツール・ド・フランスは頭ひとつ抜けていて、UCIワールドツアーでも最上級カテゴリーに位置づけられ、その下にジロ・デ・イタリア・ブエルタ・ア・エスパーニャがカテゴライズされています。
ツール・ド・フランスの楽しみ方
ツール・ド・フランスというレースの外枠について理解が深まったところで、次はその中身。レースの楽しみ方や注目ポイントについて見ていきましょう。
基本的なルール
大会の実施期間は23日間。休息日を挟んで全21ステージを選手たちは走ります。
個人・チームタイムトライアルを除いた19ステージの各ステージでは、最初にフィニッシュラインを通過した選手がステージ優勝を手にします。
個人・チームタイムトライアルでは最速タイムを出した個人・チームがステージ優勝です。
総合優勝とマイヨ・ジョーヌ
ステージ終了毎に累計タイムを計測し、最も速い選手が総合首位。総合首位の選手はマイヨ・ジョーヌという黄色いジャージを着用する権利を獲得します。そして全21ステージを走り、合計タイムが一番速い選手が総合優勝を手にします。マイヨ・ジョーヌは最も速い選手だけが着ることのできる栄光の黄色ジャージなのです。
ポイント賞とマイヨ・ヴェール
ポイント賞とは最速のスプリンターに与えられる称号です。
各ステージの途中に1箇所だけ設けられた中間スプリントポイントとフィニッシュラインの通過順に応じて与えられるポイントを合計していき、ステージ終了毎に、最も獲得ポイントの多い選手がマイヨ・ヴェールという緑色のジャージを着用する権利を獲得します。そして全ステージ終了後最も多くのポイントを獲得した選手にポイント賞が与えられます。
マイヨ・ヴェールは最速のスプリンターだけが着ることのできるジャージなのです。
山岳賞とマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
山岳賞は最強のクライマーに与えられる称号です。
ポイント賞と同様に、各峠の頂上に設けられた山岳ポイントを通過した順にポイントが与えられ、ステージ終了毎に最も獲得ポイントの多い選手がマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュという白地に赤玉のジャージを着用する権利を獲得します。全ステージ終了後最も多くのポイントを獲得した選手に山岳賞が与えられます。
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュは最強のクライマーだけが着ることのできるジャージなのです。
新人賞とマイヨ・ブラン
新人賞は開催年に25歳以下の誕生日を迎える選手の中で累計タイムが最も速い選手に与えられます。
他の賞と同様、ステージ終了毎に累計タイムの最も速い選手はマイヨ・ブランという白のジャージを着用する権利を獲得します。全スタージ終了後、最も累計タイムの速い選手に新人賞が与えられます。
敢闘賞とドサール・ルージュ
最終ステージとタイムトライアルを除く各ステージで、最も果敢な走りを見せた選手に与えられるのが敢闘賞です。
他の賞と比べると、審査員の主観により受賞者が決められたり、ステージごとに受賞者いるなどの違いがあります。また、大会最終日には、大会全体で最も果敢な走りをした選手に「スーパー敢闘賞」が送られます。
敢闘賞を受賞した選手には、通常の白地に黒文字のゼッケンの代わりに赤字に白文字のゼッケン「ドサール・ルージュ」が与えられます。
その他のルール
ボーナスタイム
タイムトライアルを除く全てのステージでは、上位3位まで順番に10秒、6秒、4秒のボーナスタイムが与えられる。
また、第1ステージから第9ステージまでは、コース途中にボーナスポイントが設置され、一番速く通過した上位3位に順番に3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが与えられる。
ゴールルール
集団でゴールした場合、集団内(前車との差が3秒以内)のすべての選手は集団先頭の選手と同じタイムが与えられます。また、ゴール手前3km以内で落車に巻き込まれたり、メカトラブルなどが発生し遅れた場合は、原則として元々その選手が加わっていた集団と同じタイムが与えられます
タイムオーバー
各ステージには制限時間があり、基本的には「そのステージの優勝選手のタイムに対し何パーセントオーバー以内」という形で定められます。制限時間以内にゴールできなかった選手はタイムオーバーによるリタイア扱いとなりますが、天候や路面状態、レース中の事故や発生場所など、状況に応じて救済措置が取られます。
ステージ難易度によるポイント配分
ポイント賞、山岳賞のポイントは、ステージの難易度によって獲得ポイントが変動します。
ポイント賞はより平坦なステージほど獲得するポイントが高くなり、起伏が激しくなるほど獲得できるポイントが少なくなります。
山岳賞は上り坂の勾配きつく、長くなるほど獲得できるポイントが多くなるように設定されています。
初心者でも楽しめるツール・ド・フランスのポイント
ツール・ド・フランスを見るのは今年が初めて!という人でも楽しく観戦できるように、楽しむためのポイントを紹介していきます。
レースはとにかく長い!美味しいものでも食べながらゆっくり見よう!
ハッキリ言って、ツール・ド・フランスは1ステージがめちゃくちゃ長い!
長い時はゴールするまで5時間以上かかったりします。しかし、その間には数々のドラマが待っています。なにか美味しいものでも食べながら、ゆったり楽しむことをおすすめします。
注目ポイントはすごくハッキリしている
スプリントポイント、山岳ポイント、ゴールスプリント、選手たちはそれぞれの狙ったポイントに向けてレースを走っています。やはりこの3つのポイントは絶対に見逃すことはできません。
特にステージ優勝がかかったゴールスプリントは、直前のポジション取りからゴールの瞬間まで緊張感たっぷりで迫力満点。勝者と敗者がはっきり分かれるため、初心者でも非常にわかりやすく楽しめるポイントです。
初めての人はそこだけに注目して見てもいいかもしれませんね。
応援する選手・チームを決めよう
ただなんとなく見ても面白いですが、やはり誰かを応援しながら見るほうが面白いです。
最初は誰を応援したら良いかわからないと思うので、自分の乗ってる自転車と同じメーカーの自転車に乗っているチームとか、そんな理由でいいと思います。とにかく好きな選手やチームを決めて、応援しながらツール・ド・フランスを楽しみましょう。
レースの実況を楽しもう
最初に言ったとおり、1レースが非常に長いです。しかも序盤は数人が逃げて、それを集団が追うという展開がかなり長い時間続きます。大きな変化はほとんどありません。
しかし、しっかり見ているとゴールに向けてそれぞれのチームが細かい動きをしていたり、選手同士で何やら話をしたりしています(ふざけていることも多い)。そういった動きを実況の方々がプロの目線でしっかり解説してくれるので、実況を聞きながら観戦することで、更にロードレースへの理解が深まります。たまに全く関係ない話をしたりもするので、実況を楽しむのもツール・ド・フランスの楽しみ方のひとつです。
フランスの風景を楽しむ
ツール・ド・フランスはその名の通り、フランス1周です。普段見ることのできないフランスの町並みや自然の風景などをバックに繰り広げられる自転車レース。
自転車レースを見ながらそういった風景を楽しむのもツール・ド・フランスの醍醐味です。住人たちがヘリカメラに向けて色々アピールしてたりもするので、そういったのも楽しみながら観戦してみてください。
まとめ
ツール・ド・フランスの基礎知識から楽しみ方のポイントまで色々解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?
最初から最後までちゃんと見る必要はないと思います。
それぞれのスタイルでツール・ド・フランスを楽しみましょう。
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